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書籍:西太后

書籍:西太后



毎月、数多くの書籍を乱読する私。

タイトルから興味が沸く場合や趣味から派生して購入する場合。

また、暇潰しに購入する場合と様々です。

そんな乱読人間の私が、ご推薦する書籍は人物。





★ 西太后

  ユン チアン 著

  川副智子 訳

  講談社

  おすすめ度:★★★★★

  一言:とても素晴らしい1冊でした。

     素晴らしい内容、訳者がまた良かった。




時の実力者が前為政者に汚名をかぶせる・・・。

身内であっても憎悪で狂気に走る場合もある。

豊臣秀吉が甥の秀次を切腹まで追い込んだのは事実。

まあ彼は主家筋である信孝とその母も葬った稀代の○人。



汚名では慈禧太后、所謂、西太后もそうなのかもしれない。

彼女は世界三大悪女の汚名を着せられた。

確かに光緒帝の側室であった珍妃を井戸に放り込む命令をしたのは彼女であった。

また、光緒帝の死も謎が多い・・・・。



映画ラストエンペラーで西太后の死の場面。

鑑賞している私の背筋が一瞬伸びた。

それ程に何か異様な光景であった。



しかし、この作品で彼女のイメージは大きく変わった。

知的で勇気、度量のある彼女。

清朝を滅亡させまいと西洋に見習う柔軟な姿勢。

それは大きな葛藤であった・・・。

纏足の廃止など悪い習慣を見直した。

科挙も時代に合わないと制度を変える。

叶わなかったが立憲君主国に変貌させる道程での死。

もしこの仕組みが成立していたらその後の歴史はどうなっていたであろう。

彼女は中世のままの清を近代化させる為に身を粉にして奮闘していた。



また芸術面でも京劇を芸術まで高める。

頤和園の造営は今日では名園となっている。



とても、とても面白い書籍でした。

これには川副智子さんの訳の素晴らしさにあると思う。

難しい感じは読み仮名と綿密な注釈がとても良かった。




2018年6月7日

静岡県 藤枝市 ワイン専門店

最終更新日:2018-06-07