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フルトヴェングラー
吉田秀和 著
河出文庫
1954年にドイツの偉大な指揮者(作曲家)であるヴィルヘルム・フルトヴェングラーは他界した。
60年前の事である。
したがって生演奏を日本人で聴いた方は数少ない。
しかも生演奏を経験しご存命となると著者である吉田秀和氏くらいかなと思う。
尚、門馬氏も確か生前にフルトヴェングラーの生の音に接したと古いNHKの番組で語っていました。
あの強烈なブラームス、ベートーヴェンを生で聴きたいのはファンとしては当たり前の心理。
もし、タイムマシーンがあったらフルトヴェングラーの演奏を体験する為に私は迷わずに乗り込むだろう。
しかし、それは無理。
ですから、この様な、体験者からの貴重な話はとても参考になります。
1954年パリで、ベルリン・フィルとブラームスの交響曲第3番そして、アンコールでワーグナーの
楽劇「トリスタンとイゾルデの前奏曲」と「イゾルデの愛の死」。
オーケストラがすすり泣くようだったそうです。
そして、ザルツブルクでまたフルトヴェングラー指揮で今度はウィーン・フィルにより、
モーツァルトの傑作「ドン・ジョヴァンニ」とドイツ人の心のオペラであるウェーバーの「フライシュッツ」。
そして極めつけはワーグナーの聖地バイロイトで第9と私からすると羨ましい。
このバイロイトは、ワーグナーの作品以外で唯一演奏を許された音楽家はベートーヴェンです。
しかも、天才ワーグナーの作品の前に・・・・・・(天才が天才を認めた事例)
この本はフルトヴェングラーの演奏解釈をわかりやすく解説されており、なかなか濃い内容でした。
吉田氏は、NHK−FMでの「名曲の楽しみ」を長きに渡り司会をし続けており、レコード芸術でも
長く執筆をされています。
フルトヴェングラー以降、ベルリン・フィルは魅力に欠けたオケになってしまった。
一日でも早くベルリンという音色を奏でるオケに復活してもらいたい。
それにしてもフルトヴェングラーの「フライシュッツ」は劇を超えた感動を与えてくれます。
特にレコードで聴くと感動は倍増です。
2014年3月11日